今回はヨガについてのお話ですね。そもそもストレッチと何が違うのか、ヨガにはどんな特有の効果あるのかピンときていないのですが、どうなのでしょうか?

身体の柔軟性を高めるところが似ていますね。ヨガの場合、より呼吸を大切に行います。また、体幹を鍛えるなど身体面だけでなく、リラクゼーションなどメンタル面への効果も大きいです。そのあたりも含めて今回ご紹介していきますね。

長時間のデスクワークや通勤、職場の人間関係や満員電車など、なにかとストレスの多い現代社会において、慢性的な肩こりや腰痛など身体面に加え、イライラや不安、落ち込みなどメンタル面にお悩みの方も多いのではないでしょうか?

ヨガには、肩こりや腰痛など身体の問題の解消だけでなく、ストレス軽減や集中力向上などの効果が期待できます

まだまだヨガには、女性がやるものというイメージが強いですが、海外では性別問わず多くのビジネス パーソン が生活にヨガを取り入れるようになっています。オフィスでも手軽にできるポーズも数多くありますので、心身の健康管理のため、お仕事の合間のちょっとした時間でヨガを取り入れてみませんか?

ヨガをやるべき3つの理由

1.姿勢が改善される

長時間のデスクワークは猫背になりやすい環境です。パソコンやスマホを触る時は、腕が内側に回転している「内旋」状態になります。そうすると、肩が内側に入り、背中が丸まり、顔が前へ突き出る「猫背」の体勢になりやすくなります。また、通勤時の肩掛けバックは、腕が内旋するだけでなく、身体の左右のバランスが崩れやすくなります。

猫背にはデメリットしかありません。猫背では、顔が前に出るため、頭を支えようと首や肩の筋肉に負担がかかり、肩こりの原因になります。また、背中が丸まるため、肺が圧迫され、呼吸も浅くなります。

呼吸が浅くなれば、体内の二酸化酸素量のバランスが乱れ、自律神経やホルモンバランスにも影響を与えてしまいます。また、内臓が圧迫されることで胃腸の働きや、血流が悪くもなります。

さらに、気分にも影響を与えます。例えば、姿勢とうつとの関係も指摘されています。(※1)

ヨガのポーズを取ることで、体感が鍛えられ、筋肉の柔軟性が高まり、自然と正しい姿勢をとれるようになります。猫背などが解消され正しい姿勢が身につくことにより、深い呼吸ができるようになるなど様々な効果が期待できます。

2.ヨガでストレス軽減

ヨガにはストレスを軽減する効果があることがわかっています。ストレスを数値化するとき使われる、心拍変動(HRV)という指標があります。心拍変動とは、脈と脈の間隔(心拍間隔)の変化のことです。

たとえば、運動すると私たちの脈は早くなり心拍間隔は短くなります。一方、リラックスしている状態では脈は遅くなり心拍間隔は長くなります。この心拍間隔の変化のことを心拍変動と呼びます。私たちの身体が正常な状態では心拍間隔が変動しますが、過度なストレス状態、自律神経機能のバランスが崩れている時などは、心拍変動が減少/消失します。

この心拍変動を大きくするように訓練することが、不安やストレスを軽減することが研究から分かってきています。ヨガの呼吸法のように、ゆっくりとしたリズム良い呼吸によって、心拍変動を大きくできストレス軽減が期待できます

他にも、ヨガにはメンタルヘルスに対して様々な効果があります。例えば、Khalsaらの研究(※2)やKirkwoodらの研究(※3)によると、ヨガの呼吸法によって不安が軽減されることが示唆されています。また、Shapiroらの研究(※4)では、ヨガがうつ症状を軽減することが指摘されています。

セロトニンという、「うつ」と関連している神経伝達物質があります。セロトニンが不足すると、気持ちが落ち込んだり、イライラしやすくなったり集中力が低下します。ヨガをやることでセロトニンが増加し、うつ症状が軽減すると考えられています。

3.ヨガで集中力アップ

ヨガによって集中力を向上させることで、仕事のパフォーマンス向上にもつながります。アメリカのウェイン州立大学Neha Gothe教授の研究(※5)によると、ヨガの基礎といえる「ハタヨガ」を1日20分おこなうことで、集中力や作業効率が向上したそうです。

また、Harrison et al.の研究(※6)では,ヨガが集中力に問題をもつ注意欠陥多動性障害(ADHD)の少年・少女に効果があることが観察されています。ADHDの診断を受けた子どもたちとその親が、クリニックで週2回、自宅で6週間にわたって毎日ヨガ瞑想を行った結果、子どもたちの集中困難性、過活動性、衝動性の症状について、親による評価も担当の先生による評価も、い ずれも軽減していたそうです。

このようにヨガには、ストレス軽減や集中力の向上など様々な効果があります。しかし、仕事帰りや休日にヨガに通うことも良いですが、忙しいとなかなか難しいかと思います。そのような方はオフィスで休み時間や隙間時間にヨガを取り入れましょう。

オフィスで椅子ヨガをやろう

1.リラックスして姿勢を正そう     

オフィスでヨガをやる場合は、手軽にできる椅子ヨガがおすすめです。もし、スーツを着ている場合は、ネクタイを緩めたり、時計を外したり、締め付けを少なくした状態で取り組みましょう。

まずは姿勢を整えます。背もたれから背中を離して座ります。お尻の左右にあるゴリゴリとした骨、「坐骨」を椅子に垂直につきさすように骨盤を立てて座ります。

骨盤の中心から頭のてっぺんまで、背筋が一本の糸で引っ張られてるかのように上に伸ばします。

肩が上がっている方は、肩をおろし、肩と耳の距離を遠ざ、胸は軽く開きます。足裏は地面にしっかりと下ろし、下半身はどっしりと安定させます。

2.呼吸を整えよう

次に、呼吸を整えます。ヨガの基本は呼吸になります。深く安定した腹式呼吸を行うことで、自律神経のバランスが整い、気持ちが落ち着いてきます。目は閉じるか、視線を一点に定めます。呼吸は、なるべく鼻呼吸で行いましょう。

鼻からゆっくりと息を吐いて、鼻からゆっくりと息を吸い込みます。鼻から息を吸うとお腹が大きく膨らんでいきます。鼻から息を吐くと、お腹がぺたんこに凹んでいきます。

自分のペースでゆったりと呼吸を続け、お腹を上下させていきましょう。

3.オフィスで出来るおすすめのポーズ

呼吸を整え、気持ちが落ち着いてきたらヨガのポーズを取りましょう。

・首や肩のストレッチ

まずはストレッチから始めます。パソコン作業やデスクワークでガチガチに凝り固まった首や肩周りを緩めていきます。

1.肩をぐーっと持ち上げ、後ろに回しながら下ろします。胸を少し開き、腕の力を抜いて体側に下ろします。

2.ゆっくりと頭を左右に傾けます。頭の重みを利用して、首の横側から肩にかけてストレッチをしていきましょう。呼吸をしながら自然な頭の重みを感じます。

3.ゆっくり首を回します。痛みやつまりがある時は無理に回さず、呼吸に合わせてゆっくり丁寧に行います。きりが良いところで、反対回しも行います。

・扇のポーズ

体側から脇の下を延ばすポーズです。肩こり改善や、内臓の動きを活発にし、代謝アップや呼吸を深める効果があります。

1.骨盤を立て、背筋をまっすぐに伸ばして座ります。背もたれから背中は離します。机に右手を置き、息を吸いながら左手を持ち上げます。

2.右腕の肘は軽く曲げ、左側の体側を伸ばすように上体を右側真横に倒していきます。

3.体側が伸びたところで、深い呼吸を続けます。左側の首もほどよく伸ばしましょう。数呼吸続けたら、ゆっくりと上体を元に戻します。

4.反対側も同様に行います。

・ねじりのポーズ

体側をねじるポーズです。

腸の働きを活発にし、便秘や消化不良の解消、ウエストのシェイプアップ、背骨のゆがみ調整などの効果があります。

1.骨盤を立てて背筋をまっすぐに伸ばして座ります。息を吐きながらゆっくりと上半身を、腰、胸、肩、目線の順番で右側にねじります。

2.体側をねじったところで、深い呼吸を続けます。数呼吸続けたら、ゆっくりと上体を元に戻します。

3.反対側も同様に行います。

・牛の顔のポーズ

肩まわりや胸、腕をストレッチするポーズです。肩こり解消や、呼吸を深める効果などがあります。

1.椅子に浅めに座り、右足を上にして脚を組みます。なるべくまっすぐな背筋を意識します。

2.息を吸いながら、左腕を上に伸ばし、息を吐きながら左肘を曲げて背面に回し、下から回した右手と背中の後ろでつなぎます。目線は正面です。両手が届かない場合は、届く範囲で服などをつかみましょう。

3.姿勢をキープしたまま、深い呼吸を続けます。数呼吸続けたら、ゆっくりとつないだ手をほどき、組んだ足も解放しましょう。

4.反対側も同様に行います。

・薪のポーズ

お尻周りの柔軟性を高め、腰の疲れを緩和し、リラックス、ヒップアップなどの効果があり、長時間のデスクワークにおすすめのポーズです。

1.椅子に浅めに座り、右足のくるぶしを左足の膝に乗せます。余裕があれば、右足の指を開くように意識します。両手は膝の上に乗せましょう。

2.息を吐きながら、なるべくまっすぐな背中をキープし、ゆっくりと前屈します。姿勢をキープしたまま、深い呼吸を続けます。数呼吸続けたら、ゆっくりと上体を戻します。

3.反対側も同様に行います。

・いなほのポーズ

胸を開き、背中の緊張を緩めることで、肩こり解消や、姿勢改善、気持ちをリフレッシュさせるなどの効果があるポーズです。

1.骨盤を立てて椅子に浅く座ります。

2.背中側で両手を組み、息を吸いながら肩甲骨を寄せ胸を開きます。なるべく、肩や背中まわりの余分な力を抜きリラックスさせます。

3.息を吐きながら、お腹と太ももを近づけるように前屈します。頭と首は力を抜き、リラックスさせます。心地よい範囲で組んだ両手を天井方向へ引き上げます。

4.ポーズをキープしたまま、深い呼吸を続けます。数呼吸続けたら、組んだ手を開放し、息を吸いながら頭が最後になるようにゆっくりと上体を起こします。

おわりに

いかがでしたか?

お昼休みや休憩時間など、短い時間でも取り組める椅子ヨガを紹介しました。ヨガマットが必要なく、椅子に座りながら取り組めるため、気軽に日常生活に取り入れることができます。

忙しいときほど、気づかないうちに身体に力が入っています。また、身体の力みや同じ姿勢で作業を続けることで姿勢が凝り固まり、心身の不調へとつながりやすいものです。意識的に椅子ヨガを行うことで、積極的に気分転換をし、心身の健康を保ちましょう。

ストレッチや柔軟、軽い運動のイメージを持っていたのですが、体幹も鍛えられるエクササイズなんですね。

はい、ヨガによって筋肉痛になることもありますよ。深い呼吸によるリラックス効果も期待できますし、性別問わず日々の生活の中に取り込まれることをおすすめします。

参考文献
※1 Wilkes C, Kydd R, Sagar M, Broadbent E, Upright posture improves affect and fatigue in people with depressive symptoms.

※2 Khalsa,S.B.,and S.Cope. ”Effects of a Yoga Lifestyle Intervention on Performance – Related Characteristics of Musicians: A Preliminary Study.” Medical Science Monitor 12(2006): 325-331

※3 Kirkwood, G., H. Rampes, V. Tuffrey, J. Richardson, and K. Pilkington. “Yoga for Anxiety: A Systematic Review of the Research Evidence.” British Journal of Sports Medicine 39(2005):884-891.

※4 Shapiro, D., I. A. Cook, D. M. Davydov, C. Ottaviani, A. F. Leuchter, and M. Abrams. “Yoga as a Complementary Treatment of Depression: Effects of Traits and Moods on Treatment Outcome. “ Journal of Evidence-Based Complementary Alternative Medicine 4 (2007): 493-502.

※5 Gothe N, Pontifex MB, Hillman C, McAuley E (2012) The acute effects of Yoga on executive function. J Phys Act Health.

※6 Harrison, L. J., Monocha, R. & Rubia, K. 2004 Sahaja yoga as a family treatment programme for children with Attention Deficit-Hyperactivity Disorder. Clinical Child Psychology and Psychiatry, 9, 479―497.