マインドフルネスとは、座ってやるイメージが強いのですが、食べるマインドフルネスとはどのような瞑想方法なのでしょうか?

食べるマインドフルネスは、五感を意識して使い食事をし、またそれによって生じた感情や思考を深く観察していく瞑想方法です。この瞑想によって、衝動的な食べたい!という欲求が減ったり、ダイエット後のリバウンドを防ぐ効果があるなどの研究結果もあります。

今回は「どのように瞑想を実践するのか」も含めてご紹介していきますね。

なかなか痩せられない・・・ストレスが多くてついつい食べてしまう・・・ダイエットだけではなく、食に関する行動に悩む日本人はとても多いです。もし、食べるものは変えずに、食べ方を変えることで、食の悩みが解消されるとしたら・・・試してみたいと思いませんか?

現在、アメリカを中心にマインドフルネスで食行動を改善することが注目されています。

マインドフルネスはコツコツと続けることで、脳の構造が変化していくものです。他のダイエット法と同じように時間は掛かりますが、脳にアプローチするので、リバウンドが少なく長期的な効果が指摘されています。

それでは、気になる方はチェックしてください。

食べるマインドフルネスとは?

マインドフルネスとは、「今この瞬間に注意を向けて気づくこと」です。マインドフルネスは、アメリカのgoogle社が社員研修に取り入れたことや、スティーブ・ジョブズが実践していることで日本でも話題となりました。

マインドフルネスは呼吸に注意を向ける瞑想方法だと思っていませんか?

実は、注意を向けるのは呼吸だけではないんです。

「食べるマインドフルネス」は、食べる瞑想、マインドフルネスイーティングなどと呼ばれ、今、この瞬間で起こっていることに注意を向け、食べる体験を注意深く観察するものです。

食べ物を観察し、「見る・聞く・嗅ぐ・味わう・喉越しを感じる」など五感を使って味わいます。

さらに、私たちの心の中ではさまざまな反応が起こります。例えば、食べ物を食べて生じた感情や思考、満腹感などの身体感覚など、様々な反応が起こります。その反応にリアルタイムで気づき、注意深く観察します。そして、良い悪いなど判断せずにありのまま受け入れていきます。

もしかしたら、マインドフルネスは、「頭を真っ白にする」「何かに集中し続けること」と思っている方もいらっしゃるかもしれません。マインドフルネスは、「その瞬間その瞬間に気づき、判断せずにありのまま受け入れること」です。

私たちが、呼吸や食べることに注意を集中していると、注意が逸れていくことも多いです。

例えば、「明日の仕事嫌だな」「今日はなんであんなことを言っちゃったんだろう」など、何か考え事をしていることに気づいたら、考え事に注意が逸れたことに気づき、そのことを責めずに、そっと注意を元の対象に戻すとよいでしょう。

「逸れたら気づいて戻すこと。」その繰り返しで、「気づく力」「受け入れる力」「集中力」などが鍛えられます。

私たちは普段、意識して活動していないことがとても多いです。例えば、食べ物を食べる時、食べることに注意を向けるより、テレビを見たり、スマホを見たりと、何かをしながら「ながら食べ」をしていることが多いのではないでしょうか。このように、意識せず無意識で活動することを「自動操縦モード」と呼びます

もちろん「自動操縦モード」には意味があります。

全てを考えながら行動すると脳に負荷がかかってしまいます。私たちが効率よく活動するために「自動操縦モード」は必要なことです。しかし、全て自動操縦モードになると、実際に自分が体験していないのと同じです。

自動操縦モードでやったことは、ほとんどが覚えていないのではないでしょうか。例えば、「ながら食べ」をすると食べ物の味や香りを覚えておらず、「あれ、どんな味だったっけ?」「昨日の夕飯って何を食べたっけ・・・」と忘れやすくなります。

つまり、食べ物だけではなく、「自動操縦モード」だと何かを経験してもそこから学びづらくなります。また、意識しない癖がついてしまうと、時に大変なことになってしまいます。自分の感情や身体反応に気づかないと、体からのサインを受け取れません。

例えば、ストレスのサイン、病気のサインにも気づかないかもしれません。自分の感情に気づけないと、感情に振り回されやすくなります。怒りのまま行動したり、不安に駆られた行動をしてしまいます。

無意識を意識化することで、その影響から逃れることができます。何かを変えたり、対処するためには、まずは気づくことが大切です

食べるマインドフルネスの効果とは?

食べるマインドフルネスには、食行動を改善させる効果や、食べたい欲求を減らすこと、ダイエット後のリバウンドを防ぐなどの効果があると指摘されています。

例えば、食べるマインドフルネスに関連する研究の効果を調査した研究では、86%の研究がマインドフルネスにより食行動が改善したと言います。(※1) また、マインドフルネスによって食べたい欲求が減ったという研究結果が報告されています。(※2)

「食べたい!」などの強い欲求は脳の後帯状皮質という部位と関連しています。後帯状皮質は「自己へのとらわれ」や「ぐるぐる思考」とも関連していると言われる部位です。マインドフルネスは後帯状皮質の活動を低下させる効果があると言います

「何で自分は〇〇なんだんろう」と、自分のことについてあれこれと考えすぎてしまう場合、マインドフルネスによって、ぐるぐる思考を減らしていくことができます。

このようにマインドフルネスは、間接的にダイエットに効果があると言われます。マインドフルネスをやることで直接体重が減るわけではありません。

しかし、食べるマインドフルネスを続けることで脳構造が変化し、食べることに対しての考えや捉え方が変わり、感情コントロールや身体反応が変化していきます。その結果として、適切な量を食べ、自分の身体にとって適切な体重に近づくのです。食べるマインドフルネスはすぐに効果が出るものではなく、少しずつ変化していくものになります。

マインドレスな食事がダイエットの失敗を招く

自動操縦モードで食事を取っていると、無意識のうちにダイエットに好ましくない食行動を行なっている場合があります。

たとえば、ストレスが溜まっていて、ついつい暴飲暴食をしてしまった経験がある方も少なくないのではないでしょうか?

「食べること」は、私たちは気分を改善する手取り早い方法です。食べ物を食べると脳の快楽中枢が刺激されます。ストレスを感じた時に食べ物を食べることで、快楽中枢が刺激され、気持ちが改善されるのです。

そうすると、私たちは「ストレス→食べる→気分改善」という流れを学習し、その行動を繰り返すことで習慣化されます。習慣化されると、私たちはだんだん慣れてしまい、それによって今までの量では刺激を感じなくなり、どんどん食べる量が増えたり、食べる回数が増えてしまうのです。

または、早食いや、スマホやテレビを見ながら食事をしていませんか?

ついついやってしまうマインドフルでない食事では、満腹感を感じづらく、身体に必要な量よりも多く食べてしまうことになります。過剰なカロリー摂取などにつながりやすく、ダイエット失敗の原因となるかもしれません。

ここで大切なのは、食べたい気持ちを押さえつけて我慢することではありません。大切なのは、食べたい気持ちも含めて、ストレスが溜まっているとか、自分の体の状態に気づき、そこから目をそらさず、受け入れた上で、行動を選択していくことです。

「気分解消のための食事」になっているなという気づきがあれば、「暴飲暴食」という対処法ではなく、別の方法が見つかるかもしれません。

ストレスが溜まっている時の暴飲暴食や「ながら食べ」など、無意識に好ましくない食行動をとっていないか、ダイエットを進める際には振り返ってみましょう。

食べるマインドフルネス実践のための5ステップ

食べるものを変えることも大切ですが、食べ方を変えることも大切です。

「ながら」食べでは、心も体も満足しづらいです。心も満足できず、満腹感も感じづらいと、ついつい食べすぎてしまいます。食べることを注意深く観察する「食べるマインドフルネス」によって、心も体も満足する食べ方に変えていきましょう。

1.環境を整える

まずは環境を整えます。スマホはしまい、テレビは消しましょう。ながら食べをしない環境を用意します。

2.食べる前に気持ちを整える

まずは、呼吸に注意を向け、気持ちを整えます。自分は今どのような呼吸をしているのか観察することで気持ちを一旦落ち着かせましょう。数分から数十秒でも大丈夫です。食べる前に一呼吸おきましょう。

3.自分の体の状態を確認する

自分はどれくらい食べたいのか、どのくらい空腹感を感じているのか、なぜ食べたいのか考えてみます。空腹度を10段階でチェックしても良いでしょう。

4.食べる前に食べ物を観察する

食べ物を観察します。視覚を使って、どのような食材が使われているのか、どのような色なのか等、観察します。それに伴う身体反応にも注意を向けます。例えば、お腹が鳴ったり、唾液が出てくるかもしれません。

5.五感を使って味わう

次に五感を使ってしっかりと味わいましょう。早食いはせず、食べ物の「香り」「舌触り」「味わい」を楽しみ、食べ物を噛んだ時の「音」「香りの変化」「味の広がり」に気づき、食べ物を飲み込んだ時の「喉ごし」など、一つ一つ丁寧に五感を効かせて食べましょう。

たったこれだけのステップで、今までの「ながら食べ」とは違い、様々な気づきが生まれます。食べ物の味が美味しく感じられた、逆に今まで普通に食べていたものでも、美味しいと思えなくなった。香りの深さに気づいた、気持ちが満たされた、少量で満足できるようになったなど、自分なりの気づきを深めてください。

あなたはなぜ食べるのか?自分のパターンをみつけましょう

なぜ、私たちは食べものを食べるのでしょうか?空腹だから。栄養素が足りていないから。実は、もしかしたら別の理由があるかもしれません。

習慣で食べているだけ、大きなストレスがあったから、生理前だったから、食べないと誰かに何か言われるから、食べることが好きだから、空虚感を埋めるため、イライラ、落ち込み、暇つぶし、胃腸の不調をなんとか誤魔化すため、目の前に食べ物があるから・・・。

おそらく、その時、その状況での理由があると思います。自分によくあるパターンが見つかるかもしれません。

食べることに問題を抱える人は、誰かとの関係や、自分自身に対して、満たされない気持ちを持っていると言われています。その満たされない空虚な部分に、食べ物を落とし込むけれど、それは食べ物ではなかなか満たされません。胃袋がぎゅうぎゅうになって、お腹いっぱいの時だけ紛れるかもしれない。しかし、胃の中が空っぽになれば元に戻ってしまいます。

食べたいなど強い欲求は、抑えつけたり、欲求に抗うことで、逆により強くなってしまいます。

大切なのは、抗うのではなく受け入れることです。

自分の中に欲求があることを認めて、受け入れます。どのような欲求も永遠には続きません。受け入れることで小さくなっていきます。まずは、欲求に気づき、受け入れましょう。

もし、満たされない気持ちが、食べたい欲求につながっているのでしたら、その満たされない気持ちにも気づき、食べることだけではなく、別の方法で満たすことも必要です。

内面を満たすために、自分にはどのようなことが必要なのか考えてみましょう。

この時、自分が欲するもの「want」ではなく、自分に必要なもの「need」を中心に考えてみます。もしかしたら、優しくしてもらうことなのかもしれません。認めてもらうことなのかもしれません。しかし、それを他人に求めると、他人は必ずしも自分の思い通りにならないので、結果的に満たされない場合が多いと思います。

もし、優しくしてもらうことが必要だなと感じたら、自分で自分に優しくしてみてください。誰かに言われたい言葉を自分でかけてみることでも、同じように満たされていきます。「セルフコンパッション 」の記事を参考にしても良いでしょう。

対処法は多いほど良いです。食べることだけがストレス解消法の方は、他の選択肢も見つけていきましょう。運動がよいかもしれませんし、音楽でもよいかもしれません。、食べることだけに頼らず、選択肢の一つとして、食べることを健康な範囲で楽しく美味しく続けていきましょう。

自分はついつい「ながら食べ」をしてしまっているなと気づかされました。「五感を使って味わう」意識してやってみようと思います。ストレスがたまるとお酒を飲み過ぎてしまうようなケースでも、使える瞑想方法かもしれませんね。

「いま自分は自動操縦モードになってないかな?」とちょっと意識するところから始めてみても良いかもしれません。最初から瞑想のステップをすべて完璧に実践する必要はないので、日々の食事の中で少しずつ取り入れて試してみてください。

参考文献
※1 O’Reilly GA1, Cook L, Spruijt-Metz D, Black DS, Mindfulness-based interventions for obesity-related eating behaviours: a literature review.

※2 Alberts HJ, Mulkens S, Smeets M, Thewissen R, Coping with food cravings. Investigating the potential of a mindfulness-based intervention.