目次
マインドフルネスとは何か?
最近、すっかり耳にする機会も増えた、「マインドフルネス」。
もともとは、1970年代にストレス解消法の一種として、マサチューセッツ工科大学の生物学者ジョン・カバット・ジンが、日本の禅の瞑想を元に、宗教色をなくして、組み立てたものです。
その後、脳科学の発展と合わせて研究が進み、今や科学的な裏付けがあるものになっています。その有効性は、Googleやゴールドマン・サックスなどの大企業の研修でも使われるほど。
2017年のアメリカ国立衛生研究所の調査では、この5年でマインドフルネスを含めた瞑想をする人口が大幅に増えており、利用者数はすでにヨガ人口と変わりません。

かくいう筆者の齋藤も、マインドフルネスを初めてから、毎日お酒を飲むことがなくなり、酒量が大幅に減りました。その結果、メンタルケア的な効用だけでなく、体重も血圧も下がるという大きな副次効果も得ることができました。(※私の個人的な体験です)
マインドフルネスと、瞑想や禅との違いは?
マインドフルネスの起源が禅となっているため、似ている部分も多くありますが、一番大きな違いは、マインドフルネスは宗教としての要素を除いた点です。例えば、禅のゴールは「悟りを開く」ことですが、マインドフルネスは、「心を今この場に留め置く(マインドフルネス)」という状態の実現を目的にしています。
また、やり方についても、マインドフルネスは性格や状況などに合わせて、様々なやり方があります。その意味では、かっちりした形式や作法が決められたものではなく、筋トレなどエクササイズに近いものと捉えて良いでしょう。
マインドフルネスをする理由。マインドフルネスの効能は?
マインドフルネスの効能については、様々な研究データがあります。
もともとがストレス軽減や精神疾患への認知療法のために研究されてきたこともあり、疾病治療に役立つと言われますが、近年はそれ以上に健康な人への効用にも注目が集まっています。
疾病治療・予防
- うつ病
- 不安障害
- 依存症
- ストレス低減 など
健康な人への効用
- 集中力・注意力の向上
- ストレス耐性(レジリエンス)増大
- 創造性の増加
- モチベーション強化
- 共感性、思いやりの強化
- リラックス、疲労回復
- 幸せ度の向上
良いことづくしのマインドフルネスですが、「サーチ・インサイド・ユアセルフ」の著者、Googleのチャンディー・メン・タンは、「本来、心の基本設定というのは幸せな状態。マインドフルネスは、本来の状態に戻すと言うことをしているだけなのだ」と、説明しています。
なお、注意点として、現在精神科や心療内科などの医療機関やで治療を受けていたり、カウンセリングを受けていたりする場合、マインドフルネスの実行については必ず治療者に相談の上、行うようにしましょう。
マインドフルネスのやり方① 呼吸瞑想
もっともベーシックな「呼吸」を使ったマインドフルネスを紹介します。
「呼吸」は、自律神経を意識的に整えることのできる、数少ない活動です。妊婦で有名なラマーズ呼吸法や、マラソンナンナーの呼吸法など、多くのリラックス・ストレス解消法が呼吸を伴うものなのは、そのためです。
1. まず、椅子か、床にあぐらを組んで座る。
2. スムーズな呼吸をするため、背筋を伸ばし、胸郭を上げ、楽な姿勢になります。堂々とした山に自分がなるようなイメージで。
3. 手のひらは上を向け膝のあたりに置くか、ヘソの下あたりで両手を組む。
4. 深呼吸を3回する。
5. 少し間を空け、呼吸を自然に行う。この際、鼻や器官に流れる空気、肺やおなかの動きなどに注意を向けつつ、リラックス。気が散っても、いったんそれを認めて受け止めてから、ゆっくりと呼吸に意識を戻す。
6. これを数分〜10分程度、無理のない時間で続ける。
7.平穏さや喜ばしさなどポジティブなイメージを内面から湧き上がらせるようにして、瞑想を終える。
悟りを開くわけではないので、時間に関しては、基本的には自分が無理のない、続けられる範囲でやるのが良いでしょう。
これを週に数回〜毎日、できる範囲で行います。
マインドフルネスのやり方② 歩く瞑想
じっとして行うのがどうにも辛い、時間がどうしても取れないといった場合は、歩く瞑想もオススメです。
1. 背筋を伸ばして、まっすぐに立ちます。目線は3〜4メートル先。足の裏の圧力を感じ、そこに意識を集中させるため、可能なら半眼に。
2. ゆっくりと片足を上げ、体重移動を意識しながら、一歩踏み出します。「かかとを上げている」「つま先を上げている」「移動する」「脚を着ける」と、動きに合わせて心の中で唱えます。その際の足の裏の感覚に集中します。
3. 2の状態で歩き続けます。向きを変える場合、1度脚を揃えて止まることを意識してから、動き出します。ここでも、「向きを変えている」と唱えても構いません。
4. あるがままの自然な呼吸のリズムに合わせ、息を吸うタイミングで足を上げ、息を吐くタイミングで足を降ろす、という歩行を実践するのも効果的です。禅の一派、曹洞宗で実践される「経行(きんひん)」という、いわゆる「歩くマインドフルネス」が元になっている、どんな方にも取り組みやすい実践法です。
これを足の裏を意識し、足の裏と一体化するような気持ちで行います。時間も、数分程度の無理のない範囲でも大丈夫。場所によっては、半眼やゆっくり歩くのが難しければ、自然な動きで行っても大丈夫です。
継続することが一番大切
以上が、簡単なマインドフルネスのやり方になります。 大切なのは、短い時間でも、継続してやることです。
電車での移動中や、会議の前後、家事の合間など、隙間時間で気楽にできる割に、様々な効果が期待できます。まずは気軽に初めて見てはいかがでしょうか。
また、もし本格的にマインドフルネスを始めたい場合は、マインドフルネスセンターや教室、お寺の座禅会など、指導者がいる場で学んでみることをオススメします。

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参考文献
林 紀行(2014).マインドフルネスとエビデンス 人間福祉学研究 第7巻第1号
川野泰周(2016).「あるあるで学ぶ」余裕がないときの心の整え方 インプレス
ハーバード・ビジネス・レビュー編集部(2019). マインドフルネス ダイヤモンド
チャディー・メン・タン(2016). サーチ・インサイド・ユアセルフ ― 仕事と人生を飛躍させるグーグルのマインドフルネス実践法 英治出版