人はどうすれば幸せになるのか。そんな哲学的な問いに対し、学問として取り組むのが「幸福学」。慶應義塾大学のウェルビーイングリサーチセンター長を務める前野教授は、そんな「幸福学」に関する数々の研究を行う、第一人者の一人だ。そんな前野教授に、幸せになるための考え方を伺った。

前野教授は、もともとは機械工学が専攻ですよね?そこから「幸福学」の研究に進まれたというのは意外な感じです。

とんでもない!機械工学の観点からも、人間にいかに心地よいものを提供するのかを考えるのはとても大切なこと。幸福学と機械工学は遠いものではないんですよ。そう考えて、10年以上前から、研究を行なっています。

地位財と非地位財。幸福学が示す現代の幸せの「鍵」

前野隆司教授幸福論10

——幸福学、ウェルビーイングという言葉を聞くようになってきていますが、具体的にはどのようなものなのでしょうか?

もともと幸せについての学問は、心理学研究として40年以上の歴史があります。米国などの先進国を中心に、well-beingと言われて、古くから研究が進んできました。学術論文の数も、2000年代から急激に増え、2010年代になっても大きく数を伸ばしています。(※1)

幸せの形というのは、もちろん万人に共通なものではありません。ですが、幸せになる「メカニズム」は学問的に明らかにできるのではないか。その観点から、私も幸福学(well-being study)の研究を行なっています。

——近年に幸福学の研究が進んだことに、理由はあるのでしょうか?

多くの先進国で、経済成長最優先の考えが行き詰まったことが原因と考えられます。実は研究が進んでいるのは、日本やアメリカ、ヨーロッパのような、どちらかというと成長が鈍化した国々。一方、右肩上がりの成長を続けている国では、さほど盛んではないように思います。

もともと、過去の幸福学では、量的に比較できるパラメータによって幸福を研究する「客観的幸福」研究が盛んでした。例えば、客観的幸福測定の一つである「人間開発指数」は、GDP、教育、平均余命から算出されます。

しかし、実際にいくら経済が成長しても、人々はぜんぜん幸せになっていない。日本では、一人当たりの実質GDPはこの50年で6倍になりましたが、幸福度の一つである「生活満足度」はほぼ横ばいです。(※2)

一方で、他人との比較ではなく、自分自身が自身を幸せかどうかを考える「主観的幸福」に注目が集まり、アンケート調査に基づく「主観的幸福」の研究も進んでいます。また、この二つの幸福の関係を測定したり分析したりする研究も進んでいます。

そして、その鍵となるのは「地位財」と「非地位財」という考え方。

——「地位財」と「非地位財」ですか。

イギリスのニューカッスル大学の心理学者、ダニエル・ネトルが提唱(※3)したものです。

地位財
人との比較により得られる財。
所得、社会的地位、物的財など。

非地位財
相対比較と関係なく得られる財。
健康、自主性、帰属意識、自由、愛など。

面白いことに「地位財」による幸せは持続性が低く、すぐに幸せを感じなくなってしまう。一方で、「非地位財」による幸せは持続性が高い

例えば、「所得」。ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンは、人の感情的な幸福は、年収75,000ドルまでは収入に比例して増大するのに対し、それを超えると比例しなくなる、という研究結果を得ています(※4)。これはアメリカでの事例ですが、私達が日本人1500人へ行なった調査でも、同様の結果となりました。地位財による幸せは、時間的に持続しないのみならず、スケール効果としても持続しないのです。

にも関わらず、人間は飽きることなく高い所得を追い求めますよね?この矛盾を含む現象を、カーネマンは「フォーカシング・イリュージョン」という言葉で説明しました。「所得などの特定の価値を得ることが必ずしも幸福に直結しないにも関わらず、人はそれらを過大評価してしまう傾向がある」、と。

本当に大切なのは、「主観的幸福」なのです。

「フォーカシング・イリュージョン」は、進化・発展こそが善と考える、現代社会が作り出した幻なのではないでしょうか。

確かに、お金持ちや、地位が高い人が必ずしも幸せそうに見えるかというと、そうとも限らないですね。

お金だけでなく、様々な「フォーカシング・イリュージョン」があります。たとえば時間。自由な時間を求める人は多いですが、内閣府のあるレポート(※5)によると、「若年層では、自由時間が短い人の方が幸福な傾向がある」という結果が出ていたりします。もちろん、その因果関係はさらに突っ込んだ研究が必要ですが、意外ですよね。

「主観的幸福」を掴むために必要な四つの因子

前野隆司教授幸福論5

——では、何があれば、「主観的な幸福」を実現できるのでしょうか?

私達は、「主観的幸福」に関わる質問をアンケートに落とし込み、その回答データを、多変量解析手法の一つである因子分析によって分析し、最終的に四つの因子を求めました。なお、これは自分でコントロール可能な、心的要因のみを対象とした分析結果です。

主観的幸福」の4因子

①「やってみよう!」因子 自己実現と成長 
②「ありがとう!」因子  つながりと感謝
③「なんとかなる!」因子 前向きと楽観
④「ありのままに!」因子 独立と自分らしさ

一つ目の「やってみよう!」は、自分が有能であること、世の中の要請に応えていること、個人的な成長や自己実現を実感していることなどを示す因子です。

二つ目の「ありがとう!」は、人を喜ばせることや、愛情や感謝、親切であることに関係します。他人に向かう、周囲との安定した関係を目指す因子です。

これら二つの因子は、幸福度を考える上で、ベースとなるような、重要なものです。

三つ目の「なんとかなる!」は、楽観性や失敗したときの気持ちの切り替え、他者や自己を受容することを示す因子。楽観性の強い人は、幸せそうですよね。

最後の「ありのままに!」は、人と比較しないこと、外部制約を気にしないこと、自分の信念を変えないことを示す因子。例えるなら、「仕事上の判断をあまり頻繁に変えない」ような性質、あるいはマイペースさと言ってもいいかもしれません。

この四つを満たすように心懸けることが、「主観的幸福」を上げることに繋がります。

——かなりシンプルな四要素ですね!こうした幸福の度合いを測定することはできるのでしょうか?

簡単なアンケートを元に計測が可能です。詳しくは、私の書籍(※2)などで紹介をしているので、興味があればご覧になってみてください。

実際に、ある企業では定期的に、従業員のこうした幸福度を測っているところもありますよ。継続的に測ることはとても意味があります。自分のコンディションを意識することができますから。健康診断と一緒です。

例えば、自分の幸福度がすこし「下がっている」と理解できれば、いろいろと対策が打てる。気持ちも、風邪と同じです。放っておいて、こじらせてしまうと大変です。周りとのコミュニケーションが取れなくなりますからね。酷くなる前に手を打って、自分の幸福度を高める動きをすること。それが大切です。

——なるほど。しかし同じ人でも、幸福度というのはそんなに変動するものなのでしょうか?

変わります。3時間のワークショップをやるだけでも、変わりますよ。

例えば、「自分が有能である」という気持ちは、一見、変化しなそうに思えるかもしれませんが、実は、楽観的なときと悲観的な時で、大きく変わってきます。「自分が必要とされているか」という気持ちなどもそうですね。

アメリカでは、ビジネスとして幸福度をサーベイするプログラムがあります。そうしたサービスはいくつかあって、「ハピネス・ビジネス」とも言うべきマーケットがすでに存在しています。

ハピネス・ビジネス!「幸福学」はアメリカが進んでいるんですね!

アメリカでは「人間はハッピーになるべきだ」という考え方が強いからかもしれません。一方、日本はどちらかというと現状を受容し、耐え忍ぶ文化。でも、だからこそ日本で「幸福学」が求められるのではないでしょうか。

企業と幸福学。なぜハラスメントが問題になってきたのか

——先ほど、企業での幸福学の活用の話になりました。職場での幸福学の適用はどのようなものがありますか?

Happiness at workと言って、仕事をハッピーにすることに特化した研究が進んでいます。同時に従業員の幸福度が高い職場は、パフォーマンスも高い、という研究結果も出ています。

——仕事をハッピーにする研究!「働き方改革」が叫ばれる今こそ、求められる内容かもしれません。

その内容は、前向きに感謝する、上司と仲良くするなどなど、様々あります。会社の中でマネージャーがメンバーと面談する中で、well-beingの考え方を使ったりしてね。

——面談ですか。日本でも、最近、1on1(ワンオンワン)ミーティングという、上司と部下が定期的に一対一で面談を行う企業が増えていますね。

私から見ると、1on1は、まさに仕事のウェルビーイングを高めるための一つの手法。もちろん、やっている方々は幸福学を考えながらしているわけではないかもしれませんが、社員がエンゲージメントを高める、つまり仕事に没入するためのもの。幸福学の考え方に近いですね。

1on1を正しくやれば、先ほどの四つの因子を高めることにつながると思います。本人の深いやりがいを引き出すことで、四つの因子は高まります。ただ、現実にはやり方を間違えているケースも多い。やっているマネージャーが何を引き出していけばいいのかわからないから、結局仕事の話をしてみろ、みたいなコミュニケーションを取ってしまったりする。それだと、幸福度は高まりません

幸福学の観点から見ると、1on1で大切なのは傾聴。助言ではなく、聞くことが大事です。ただ、傾聴というのは、慣れていないと疲れるんです。だから、マネージャー自体が疲弊してしまっていると、うまくいかないですね。

なお、幸福度の高い職場では、1on1に限らず、例えば朝礼の時間や、お菓子の時間、社員旅行など、仕事以外の仲の良いコミュニケーションを取れるように工夫がされていて、幸福度が高くなっています。

——仕事以外のコミュニケーションですか。

家族のようなコミュニケーションですね。

30年くらい前は、社員は家族のようなものだという価値観がありました。それが、だんだんとドライになり、変わって来た。社員旅行をなくしたり、プライベートと会社を切り離していった。もちろん、そういうものに煩わしさを感じていた人も多かったのかもしれませんが、現代はあまりにも極端に進んでしまったと思います。

そうしたコミュニケーションを無くしてしまった結果、上司と部下の関係性を作りづらくなくなってしまった。ハラスメントの問題が大きくなった背景は、そこにもあると思います。

——ハラスメントは、管理職にとっても非常にセンシティブな問題です。

大切なのは関係性。「彼氏ができたのか?」という質問も、関係性ができていれば聞いていいようなものなのかがわかるし、聞かれる側も嫌な気持ちにはなりにくい。あるいは、部下を怒っても、「鍛えてくださっている」と思ってもらえるかもしれない。

ハラスメントが怖いからという理由で、コミュニケーションを減らすというのは、幸福学の観点から見ると幸福度を下げる可能性が高いと考えています。むしろ、コミュニケーションの質と量を増やすべきです。信頼関係を構築した上で、深い会話を交わせる関係性になるべきなんです

職場の「心理的安全性」なんていう言葉もありますが、仲の良い家族で「心理的安全性」という言葉は使わないですよね? 個人的には少し寂しく感じる言葉です。周囲との親密さ、繋がり、感謝。これらを醸成する仕事以外のコミュニケーションは、今の時代だからこそ大切なのではないでしょうか。

時代の揺り戻しか、最近、社員旅行をしたいと言う若い人が増えているという話も聞きます。人手がなかなか足りない現在だからこそ、あえて家族のようなコミュニケーションをしてみてはいかがでしょうか。

シニアのサバイバルの知恵としての幸福学

前野隆司教授幸福論2

——仕事ではなく、家庭で幸福学を適用するという考え方もあるのでしょうか?

もちろんです。私は、夫婦向けの幸福学のワークショップを時々行なっていますよ。

ただ、日本ではこうしたワークショップに参加するための、はじめの一歩の敷居が非常に高いですね。夫婦向けと銘打っても、2人で来られる方は非常に少ない。アメリカでは、カップルカウンセリングというのは珍しくないのですが、これも文化の違いがあるのでしょう。

ただ、面白いことにワークショップに参加してくださった方々の満足度は非常に高いです。それこそ、終了後は感謝の嵐(笑)。考えてみれば、夫婦関係はみんな似たような問題にぶつかっているんだけど、それを共有する場がない。だからこそ、夫婦で来てお互いに共有すれば、そこはヒントの宝庫になるんです。

——確かに、夫婦でくるというのは抵抗があるかもしれませんね。特に男性は。

そういう傾向はあるようですね。でも、本来はシニアの男性の方が一番、私のワークショップに来るべき人たち。女性は社会性が比較的高いので、歳をとっても幸福度は下がりにくい。むしろ、高くなっていきます。

一方、男性は仕事をやめると様々な繋がりが切れる。おまけに、威張ってしまったりして、老後の新しいコミュニティでも友達を作りにくかったりする。実際、あるお医者さんによると、奥さんが亡くなると、旦那さんがあとを追うようにすぐ亡くなる、というケースは非常に多いそうです。女性はそういうことは少ないとか。

本来は年をとると、幸福度は上がりやすいんです。おじさんたちは、悪いというよりも、被害者です。そういう環境で長年過ごしてきたことが不幸なんです。だからこそ、幸福学の考えを学び、主観的幸福を高める力を身につけると良いですね。

シニア世代のサバイバルのためにも、幸福学というのは必要な知識なんですね。

未来が予想できないからこそ、子育ての中での幸福学が重要

前野隆司教授幸福論8

——先ほどは夫婦関係についてでしたが、育児の中では幸福学がどのように使われるのでしょうか?

学問的には育児と幸せの関係性研究は非常に多いですね。発達心理学や、教育学で研究されています。

中でも注目すべきは、四つ目の因子である「ありのままに!」因子でしょうか。

子供にはいろんな個性があります。それを認めて、親が子供を他人と比べないこと。そうすれば、子供は自己肯定感を持って育つことができる。

アメリカに住んでいた頃に強く感じたのは、彼らの自己肯定感の高さ。周りから見るとそれほどでもないように見えるようなことでも、彼らは自信満々に自分の長所だと語ります。

翻って、日本には謙虚の文化があります。かつての武士道のような力強い考え方があった時代には、謙虚さは美徳だったのでしょう。ですが、戦後に自信を失ってしまった結果、強い心が養われない中で謙虚さのみが残ってしまい、単に自信がないだけの人が量産されているように思います。

——自信を持つことは、重要であると。日本では、「自信満々」とか、「井の中の蛙」など、自信家を諭す言葉が多いですね。

傲慢になるのでなければ、自信を持つことは、悪いことではないんです。人が自信を持つ際に、他の人と比べる必要もないと思います。

そもそも、自分の得意分野は自分独自のものでいい。人と同じ尺度で測らない方がいいんです。1000人いたら、1000通りの分野があって良い。多様性を認めることが大切です。

多様性という意味では、たとえば、ADHDやアスペルガーの人は素晴らしい可能性を秘めていると言われています。アインシュタインやダビンチなど、多くの天才にはそうだったと言われるけども、その時代には、彼らを認めて、放っておいた。だからこそ、天才たちが活躍できたんじゃないでしょうか。幸い、最近はそうした認識も少しずつ浸透して来ています。多様性を認める時代になるべきです。

もはや、他人と競争して勝ち抜いても、幸せな未来は待っていません。学校で勝ち抜いたと思ったら、社会に出た途端、自由にやれ、創造性が大事だ、と言われたりする。もう、画一的な競争の社会は終わっているんです。

——確かに、将来がわからない時代を生き抜くからこそ、子供の「主観的幸福」を育むことが大事なのかもしれませんね。

ある研究では、「教育は幸福と相関がない」という衝撃的な結果が出ていたりします(※6)。でも本来、教育は子供の幸せに寄与するべき。だからこそ、幸せの四つの因子への影響も加味した形で、教育カリキュラムを考えて構成するべきだと考えています。

令和時代の幸福をどう実現するか

前野隆司教授幸福論1

——様々な分野で幸福学を応用できるんですね。前野先生が実証実験を行なっている研究には、どのようなものがありますか?

様々な分野で応用研究を行なっています。企業との事例だと、例えば、積水ハウスと「幸せになる家」というコンセプトの研究を行なっています。

具体的には、「人はどんな家に住むと幸せになるのか?」というコンセプトで、家づくりを行なっています。いることの心地よさ、生きがいの作りやすさ、なんとかなるよと思える、つながりが生まれやすい、などなどの観点。

それは、子供部屋への導線だったり、天井の高さだったり、リビングに少しだけある窪みだったり、様々な観点で、幸福度を高めるような工夫をしています。

港区と行なっているプロジェクトでは、「芝の家」という縁側のある家を作っていたりします。おじいちゃんと子供とかみんなで集まる実験の場所。昔の江戸っ子が過ごしたような、誰でも「ただいま」と言えるような場づくりです。

——まちづくりでも、幸福学が応用できるんですね。

昭和・平成の時代は、防犯や防災といった、安全であることがまちづくりで重視されていました。それはそれで大切なんですが、令和のまちづくりは、地域の幸福度をより高めることを目指してもいいのではないかと思います。

——面白いですね。まるで開運を呼ぶ「風水」のようです。

共通点はあると思いますよ。もともと「風水」は、幸せになるための家づくり・街づくりのヒント集みたいなものです。ゲン担ぎという意味だけでなく、長年の経験から編み出された知恵の結晶のような面もありますから。環境心理学の見地からみてもある程度合理的だと思います。

——ありがとうございます。最後に、令和時代を幸せに生きるために大切なことを教えてください。

幸せに生きるために、ですか。幸せを目指すべきものかどうか、というのは古来からある問いの一つです。アリストテレスは肯定派でしたが、そうではなく「幸せは追い求めるのではなく、日常から発見すべきものだ」という立場の人たちもいます。

——「幸せの青い鳥」の寓話のようですね。

私は幸せを目指してもいいのでは、とは思っていますが、確かに「幸せを目指す」というのは抽象的すぎて、適切に行動しにくいかもしれない。だからこそ、幸せになるメカニズムを理解することが大事だと考えています。

——四つの因子の話ですね。

メカニズムがわかれば、幸せが因数分解でき、より具体的な目標に落とし込めます。人間の脳は、「ついつい具体的で身近な問題」から解いてしまう性質がある。達成感という報酬をすぐ得ることができるので、脳が「無意識」にそちらを選択してしまうのです。

しかし、人間は「無意識」的な活動に支配されています。だから、幸せのメカニズムを無意識に落とし込んでいれば、意識して幸せを目指さなくても、自然と幸せに近づいていくことになる。

つまり、幸せのメカニズムを理解すれば、自ずと目標に近づいていくのです。少し受動的な感じもするかもしれませんが、幸せは「し合わせ」とも書きます。これは巡り合わせのこと。だから、本質的にはこの感覚に近いのだと思います。

人生で迷ったら、四つの因子①「やってみよう!」 ②「ありがとう!」③「なんとかなる!」④「ありのままに!」を思い出すようにします。幸せになるために!!

四つの因子をさらにシンプルにいうと、やりがいとつながりを持ち、個人として生き生きとしている状態であること。「令和」にも和という文字が入っていますが、和して同ぜず、それぞれの個性を活かしながら仲良くなっていく。それを実現できれば、誰もが皆、幸せになれるのではないでしょうか。

前野 隆司(まえの たかし)/慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授、ウェルビーイングリサーチセンター長
1962年生まれ。1984年東工大卒、1986年東工大修士課程修了。キヤノン株式会社、カリフォルニア大学バークレー校客員研究員、慶應義塾大学理工学部教授、ハーバード大学客員教授などを経て、2008年より慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント(SDM)研究科教授。専門は、幸福学、イノベーション教育、システムデザインなど。著書:「幸せな職場の経営学」(小学館)、「ニコイチ幸福学」(CCCメディアハウス)、「無意識の力を伸ばす8つの講義」(講談社)、「幸せのメカニズム」(講談社)、「脳はなぜ「心」を作ったのか」(筑摩書房)など多数。

※1 「Web of Science」学術文献データベースの論文数より。
※2 幸せのメカニズム 実践・幸福学入門, 前野隆司
※3目からウロコの幸福学, ダニエル・ネトル
※4 High income improves evaluation of life but not emotional well-being, Daniel Kahneman and Angus Deaton
※5 内閣府経済社会総合研究所「若年層の幸福度に関する調査」(2010~2011年)
※6 教育と主観的幸福の間には有意な相関が見出せないと言われています[前田他、1979]