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AIの発展で様々な職業が淘汰される一方、多様な働き方が生まれている中で、「これまでの働き方じゃやっていけなくなるかも…」という不安を感じることはありませんか?

あります。
今持っている知識やスキルを高めるだけでは、通用しない時代に入っていますよね。

そこで改めて注目されているのが、“心の知能指数”と言われる「EQ」です。「EQ」が高い人は、ビジネスにおいて成功しやすく、他者と充実した関係を築けると言われているんです。今回は、そんな「EQ」の基礎知識やメリット、高め方などをご紹介します。

目次

そもそも「EQ」とは?

「EQ」とは「Emotional Intelligence(心の知能指数)」の略語で、米イエール大学の社会心理学者 ピーター・サロベイ博士と、ニューハンプシャー大学のジョン・メイヤー博士が「ビジネス社会における成功の要因とは何か」を心理学の立場から研究し、1990年に提唱した概念と理論です。彼らは「EQ」を、「望ましい行動や意思決定のために、感情と思考を効果的にブレンドする能力」と定義しました。

これを分かりやすく言い換えると、「自分の感情をコントロールして、感情と思考がベストミックスした答えを導き出すことができる」能力です。

「EQ」が高い人は、相手におもねったり忖度するのではなく、自分と他者を理解した上で、お互いにとって望ましい方向へ物事が進むよう行動することができます。その場その場で、最適な行動を取ることができるのです。と同時に、自主性、自律性が高く、対人関係に優れているという特長もあります。

また「EQ」は、ビジネスの成果と深い関係があり、「EQ」の能力の差=年収の差につながるとも言われています。そしてその影響は、「IQ(知能指数)」よりも非常に大きいことが分かっています。(※1)

「EQ」4つの能力

ここからは、具体的に「EQ」の能力について説明しましょう。「EQ」は大きく分けて4つの能力に分類されます。それぞれの内容について、簡単にご紹介します。

①感情の識別

「感情の識別」は、「EQ」の最も軸となる部分です。「感情を識別する」とは、「気持ちを感じ、確認する」ということ。自分が今悲しいのか、怒っているのか、感情を判断できる能力なのです。そして、それができれば、他者の気持ちも同じように感じとることができるようになります。

②感情の利用

「感情の利用」とは、目の前の問題を解決するために、みずから感情を生み出す能力です。「冷静さが必要な場面で、落ち着いた気持ちをつくり出す」など、求められる場面で求められる行動をするために、必要な感情を生み出します。

③感情の理解

「感情の理解」とは、今起こっている感情の原因を理解し、その変化を予測することです。例えば、「仕事をしたくない」という感情が湧きあがった場合、その原因が「疲れているから」だと理解できれば、「休息をとる」という解決策をとり、気持ちを変化させていくことができます。

④感情の整理

「感情の整理」とは、ほかの3つの能力を発揮し、望ましい決定をするために感情を活用する能力です。つまり、最終的にどんな行動をとるべきかを決定する能力と言えます。 (※2)

「EQ」の能力は全て感情につながっているんですね。でも自分の感情ってつい後回しにしがちというか、なかなか深く考える機会がありません。

たしかに。でも4つの能力を全て身に付ければ、自分自身はもちろん、周囲にいる人とも、良い関係を気付いて行けそうですよね。

「IQ」と「EQ」の違い

「IQ」と「EQ」は何が違うのでしょうか。「IQ」は、「Intelligence Quotient(知能指数)」の略語です。ここでいうところの「知能」とは、「明確な回答がある問いに対して、素早く適切な答えへ導く能力」を指しています。

「IQ」が重要な能力であることは言うまでもありませんよね。ですが「IQ」だけでは、問題に直面した時に対応できる範囲が、「答えがある問い」だけに留まってしまいます。しかし実際の社会では、「答えがない問い」を解決しなければならない場面に直面します。経営学者の田坂広志氏は、知能と知性の違いを、「知能」とは、答えのある問いに対してそれを導き出す能力であり、「知性」とは、答えのない問いの答えを探し続ける能力であると言いました(※3)が、「EQ」はその「知性」に深く関わりがあるものです。

「EQ」は、「感情と思考を組み合わせて、答えの無い問いにも、最適な答えを生み出すことができる能力」であり、人との関係性も高めていくことができます。つまり、「EQ」が「IQ」にプラスされることで、人は「知能」を「知性」へと昇華することができるのです。この「知性」は個人のものだけでなく、集団の知性、「集団知」を生み出すことができる、リーダーシップとチームワーキングに関連した力でもあります。

これからの時代、答えのある問いに対しては、AIが人間の何倍ものスピードと正確さで処理してくれる世の中になっていくことでしょう。そこで生き残っていくためにも、いかに「IQ」と「EQ」を組み合わせて「知性」を発達させるか、というテーマは、非常に重要となっていくのではないでしょうか。(※1)

「EQ」が高いことで得られる7つのメリット

①言葉以外で、人の気持ちを察して行動できる
②円満な人間関係が築ける
③失敗や挫折、敗北への耐性が強い
④改善点を自覚して、常に学び成長できる
⑤自分の感情とその対処法を知り、解決に導ける
⑥マイナス思考が避けられる
⑦夢や成功を追求する

では「EQ」が高いことで、人はどんなメリットが得られるのでしょうか。ここでは、代表的な7つのメリットをご紹介します。

①言葉以外で、人の気持ちを察して行動できる

「EQ」が高い人は、相手の顔の表情や腕の組み方、姿勢などから、他者の感情を理解することに優れています。言葉で言われなくとも、伏し目がちだったり、肩が落ちて前屈みになっている様子から、相手の気持ちの状態や変化を汲み取って行動することができます。

②円満な人間関係が築ける

相手を知り、理解しようとし、さらには返答に耳を傾けることができるのも「EQ」が高い人の特長。部下や同僚など、立場に関わらず他者に「あなたはどう思う?」と常に真摯に問いかけるので、円満な人間関係を築きやすいのです。

③失敗や挫折、敗北への耐性が強い

失敗、挫折、敗北など、ものごとが自分の思い通りにいかない時も、「EQ」が高い人は、くよくよ悩んだり落ちこんだりすることはありません。失敗を心の奥深くに取り込まず、平常心を保って、早く立ち直ることができます。

④改善点を自覚して、常に学び成長できる

「EQ」が低い人は悪いことが起きると、環境や他者のせいにすることがよくあります。それに対して「EQ」が高い人は、自分の立ち位置を知っており、改善すべき点を自覚できます。そして常に学ぶ姿勢で、成長を続けることができます。

⑤自分の感情とその対処法を知り、解決に導ける

「EQ」が高い人は、自分が今何を感じていて、その思いの原因が何であり、どのように対処すべきかを知っています。そして、感情に流されて行動することなく、思考と感情を組み合わせ、解決策へと導く行動をとることができます。

⑥マイナス思考が避けられる

物事がうまく進まない時、例えそれが自分のミスが原因でも、自分を激しく非難することはありません。原因を冷静に認め、解決法を探り、前へと進めます。プラス思考を持ち続け、ストレスやトラブルに負けない精神力があるのです。

⑦夢や成功を追求する

夢を持ち、それを実現するための戦略をたて、例えゴールが遠くとも、一歩一歩進み続けていくことができます。たとえつまずいても、問題を改善できます。失敗は、それをあきらめた時にのみやってくることを知っているのです。 (※4)

この7つが揃っている人は、ものすごく人間として尊敬できますよね。こんな人と一緒に仕事をしてみたい…!

そう思いますよね。まさに、「EQ」が高い人は、「一緒に仕事がしたい人」の象徴と言われているそうですよ。

「EQ」は高ければ高いほど良いのか?

ここまで、「EQ」の特長やメリットについてご紹介して来ましたが、では「EQ」は高ければ高いほうがいいのでしょうか。残念ながら、必ずしもそうではありません。なぜなら「EQ」の能力は使い方によっては、個人的な利益のために悪用もできてしまうからです。

その最大の悪例と言えるのが、アドルフ・ヒトラーです。歴史家であるロジャー・ムーアハウスの著書『ヒトラー暗殺』によると、彼は人の感情に共感して訴えかける「EQ」の能力を認識し、感情に訴えかけるボディランゲージの研究に何年も費やしたそうです。そしてついに、ジェスチャーや話し方で、「最高に魅力的なパブリックスピーカー」へと昇りつめました。その後に起きた悲劇は、みなさんご承知の通りです。(※5)

また「EQ」が高いゆえに、他者の感情に共感し過ぎると、余計なストレスを抱えてしまう可能性もあります。2016年、ドイツのフランクフルト金融管理大学院の心理学者 ミリアム・ベヒトルトとヴァネッサ・シュナイダーが発表した研究では、166人の男子大学生に「EQ」を測定するために様々な質問をした結果について書かれています。

生徒達に、厳しい表情を演じる審査員の前で話をさせ、話の前後に唾液中のストレスホルモンのコルチゾールの濃度を測定したところ、「EQ」が高いと判断される学生は、他の生徒よりもストレス値が増加し、戻るのに時間がかかったそうです。2002年に発表された同様の研究でも、「EQ」が高い人は、他人のうつや絶望感の影響を受けやすい可能性があることが示唆されています。

「EQ」の高さをただ求めるだけでなく、このような他者を操作するような悪用や、他者の影響を受けすぎる危険性への注意を払うと良いかもしれません。(※6)

「EQ」を高める10の方法

ビジネスの成果や人間関係に大きく関わる「EQ」。「EQ」の高さは先天的に決まっているものではなく、後天的に高めていくことができるものです。ここでは、簡単なトレーニング方法をご紹介します。

①マインドフルネス瞑想

毎日数分でも瞑想する時間を持ちましょう。背筋が伸ばせる姿勢で座り、深呼吸を3回してから、ゆっくり自然に呼吸を。肺やお腹に意識を向け、呼吸だけに集中しましょう。続けることで、感情をコントロールしやすくなります。

②自分の感情を感じ取ろう

意識的に感情を感じ取る練習をしましょう。ネガティブな気持ちも自覚することで、対処が可能になります。喜びや怒りなど分かりやすい感情から始めて、その感情の段階、どれぐらいうれしいか、怒っているのかを意識してみましょう。

③怒りやネガティブに流されず、感情をスイッチ!

本能のまま乱暴な言葉を吐いてしまったり、突発的に行動を起こすのではなく、感情をコントロールして、すぐに落ち着きを取り戻す訓練をしましょう。 深呼吸など、自分なりにスイッチできる方法を見つけて、使ってみましょう。

④自分の強みと限界、怒りの発火点を知ろう

自分の強みや限界を理解する努力をしましょう。理解すれば、強みを生かしたり、弱い部分は人に頼ることができるようになります。また、不毛な喧嘩を繰り返さないために、自分の怒りが爆発する発火点も知り、対策を探りましょう。

⑤「メタ認知」を習慣に

「メタ認知」とは、「頭を働かせた行動全て」を意識して、「一段上からとらえる」ことを意味しています。自分の行動、思考などを客観的に把握し、最適な行動ができているか、知識の不足はないかなどを振り返り、操縦しましょう。

※「メタ認知」について、こちらの記事もご覧ください。

⑥他人の感情を表情やしぐさから察知

人の感情は表情やしぐさに現れるものです。相手の目を見て、まずは自分の意見を言わず、最後まで話に耳を傾けることを意識してみましょう。すると、表情や言葉の選び方から相手の気持ちを想像し、そこに共感できるようになります。

⑦価値観が近い人、異なる人、両方と付き合おう

自分とキャリアが近く、自分を深く理解してくれる人をみつけましょう。と同時に、考え方が違う人とも積極的に会話して、自分と異なる視点や価値観を学びましょう。自分の悪い部分を遠慮なく指摘してくれる友人も大切です。

⑧相手をすぐに判断するのはやめよう

目の前の相手を、すぐに善悪や「合う」「合わない」で判断するのではなく、時間をかけてどんな人なのかを知っていく習慣を身に付けましょう。あなたもそうであるように、誰でも良いところもあれば、悪いところもあるものです。

⑨自分への思いやりを持ちましょう

自分を後回しにせず、自分自身に思いやりを持ちましょう。自分に厳しくし過ぎないことで、失敗した時も原因を考え、学ぶことができます。同時に、自分の体にも細心の注意を払いましょう。体と心は密接につながっているものです。

下記の記事では、自分自身への思いやりである「セルフ・コンパッション」について、取り上げています。

⑩フィクションを体験しよう

フィクション映画や小説を見たり読んだりする機会を増やして、登場人物に感情移入する体験を積極的にしましょう。この体験を通じて、実生活でも他者への共感力がアップします。 (※2 )(※7)

どれも特別なことではないので、意識することで取り入れていけそうですよね。映画や小説を楽しみながら能力を高められるのもうれしいです。

毎日続けることで能力が向上するので、ぜひ実践してみてください。

他人の「EQ」を高める方法と注意点

「EQ」を高めるトレーニングは、教育の場でもよく用いられています。ここでは、子育てアドバイザーであり、脳力開発トレーナーでもある浦谷祐樹さんの著書『子どもの未来が輝く「EQ力」』と、心理学者であり科学ジャーナリストでもあったダニエル・ゴールマン(Daniel Goleman)博士の著書『EQ こころの知能指数』から、幼児期の子育てにおいて、それぞれに「EQ」を高める方法と、注意すべき点についてご紹介します。

<幼児期の子育てにおいて「EQ」を高める5つの方法>

①スキンシップと言葉がけをたっぷりと

幼児期の子育てにはふれあいが不可欠です。スキンシップや話しかけにより情緒が安定し、感情を抑制する機能が発達していきます。また親は意識的に、やる気を促す言葉がけ、反省を促す言葉がけを、なるべくぶれのない姿勢で行いましょう。

②ヒステリーまで丸ごと受け入れる

「EQ」を高める子育ての基本は、受け入れること。怒りやヒステリーもなるべく見守り、言い分を聞くことで受け入れてあげましょう。またその際に「くやしかったね」など、共感する言葉を。子どもの自信が育まれ、様々なことに挑戦できるようになります。

③褒める、叱るはルールを決めて冷静に

幼児は褒めることであらゆる面で才能を伸ばすことができます。反対に叱る時は、怒るのではなく冷静に「悪い点を教える」ことを意識してください。親も興奮してしまうと、子供は冷静に考えることができません。一呼吸置くことで、「感情の抑制」を学べます。

④子供の見本に。自分の気持ちも素直に伝える

親は子供の鏡。見本になるべき行動を心がけましょう。また、子供の言うことを受け入れるばかりでは、共感力・コミュニケーション能力が育ちません。親も気持ちを伝えることで、「親にも感情があり、自分の言葉で心が動く」ことが理解できるようになります。

⑤やり抜く力、夢中になる力を育むことを意識して

「何かをやり抜く力」と、「何かに夢中になる力」は、どちらも「EQ」の能力に欠かせないものです。ぜひ意識して育んであげてください。また親子で一緒に遊びや学習に取り組むことも、「自分と相手を理解する能力」を伸ばす絶好のトレーニングになります。

<幼児期の子育てにおける、「EQ」の注意点>

幼児期はまだ、感情の抑制をつかさどる、脳の前頭前野という部分が未発達です。そのため思い通りにいかないとヒステリーを起こし、泣き叫ぶことも…。しかし、この前頭前野の健全な発達こそ、EQの能力育成には不可欠です。過度に叱る、抑えつける、無視を繰り返すなど、「自由な感情表現を妨げること」は止めましょう。喜怒哀楽を時には爆発させることで、子どもは自己認識を行えるようになるのです。

親が辛抱強く見守り、諭すことで、自己規制の仕方も覚えていきます。(※8)(※9)

<ビジネス研修において「EQ」を高める3つのステップ>

ビジネス研修においては、「EQ」はどのように教育されているのでしょうか。ここでは、一般的な研修内容についてご紹介します。

①基本理論を学ぶ

まずは「EQ」の誕生や概念、感情のメカニズムなどを学んでいきます。「EQ」を高めるためには、EQに関する知識を得ることが大切です。

②診断と分析

それぞれの「EQ」の高さを診断し、どのように仕事で発揮されているのか、「感情の使い方」の傾向を分析していきます。

③日々のトレーニング

診断を元に、伸ばしていくべき「EQ」能力について、毎日の実践によってトレーニングしていきます。

<ビジネス研修における、「EQ」の注意点>

研修で効果的に「EQ」を向上するために注意すべきは、一定の期限を決めておくことです。また、応援してくれる人を見つけることもモチベーションの維持に大切です。

しかし最も重要なのは、研修後も継続し、習慣化すること。それが後に、周囲との円滑なコミュニケーション、仕事に対してのモチベーションの維持、将来の活躍・成功など、大きな成果へとつながります。(※10)

EQについて、いかがでしたでしょうか?

「EQ」努力次第で高められる能力です。ニューノーマルと言われる昨今、ますます先が読みにくい、答えがない中で、「EQ」の必要性は、より高くなっていくのではないでしょうか?

ぜひこれをきっかけに「EQ」をもっと知り、磨いてみることに時間を使ってみるのはいかがでしょうか?

今の時代にこそ「EQ」の能力が必要とされているんですね!

先の読めない時代、きっと様々な「答えのない問題」が降りかかってくるに違いありません。「EQ」の能力を身に付けて、逞しく乗り越えていきたいですね。

監修:藤本 志乃
臨床心理士・公認心理師・マインドフルネス瞑想講師
教育相談、医療機関での活動を経て、2020年にウェルビーイングのためのカウンセリングルームLe:self(リセルフ)オープン。
気軽な心ケアとより良い生き方をコンセプトに、マインドフルネス、ACTのワークショップ・イベントを一般・企業向けに開催している。

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