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最近、「ストレスマネジメント」をテーマにした記事や特集をよく見かけます。

主にビジネスのシーンでストレスマネジメントのスキルが注目されているようですね。今回は「ストレスマネジメント」について学んでいきましょう。

ストレスマネジメントとは?

社会の中で生活していると、様々な場面でストレスを感じることがあります。ストレスの感じ方というのは人によって、またタイミングによってもさまざまで、ストレスを受けても平気な時もあれば、ストレスによって様々な症状が出てしまうこともあります。

この違いは、どこからくるものなのでしょうか。

(1)ストレスとストレスマネジメント

身体や心に悪影響を起こすストレスに対し、どのように対処し、どのように付き合っていくかを考えることを「ストレスマネジメント」と呼びます(※1)。ストレスがかかった時の認知方法や適切な対処法を身に付けることで、たとえストレスを感じても、その状態にうまく対応し、ストレスと上手に付き合うことができるのです。

(2)ストレスマネジメントが注目される背景

近年、仕事におけるストレスマネジメントに関心が高まっています。その背景には、社会環境や労働環境などの変化に伴って、メンタルヘルス対策が労働行政の重要課題と位置付けられ、様々な施策が実施されていることが挙げられます。

国が進めているメンタルヘルス対策の一つが「ストレスチェック」です。ストレスチェックとは、自分のストレスがどのような状態にあるのかを調べる簡単な検査です。2015 年 12 月に「労働安全衛生法」が改正され、労働者が 50 人以上いる事業所では、年1回のストレスチェック実施が義務付けられました(※2)。

ストレスマネジメントの目的は、単にストレスを軽減して心の負担を減らすことだけではありません。ストレスを受け続けると「仕事への意欲低下」「考える能力の低下」などが起こり、ミスの引き金となるだけではなく、心身へ悪影響を及ぼします。ストレスマネジメントは、自分自身を守るためにも、仕事のパフォーマンスアップのためにも必要なスキルなのです。

ストレスマネジメントを知るために|ストレスの理論

ストレスは目に見えないからこそ、ため込みすぎないように注意しながら、うまくつき合っていく必要があります。そのためにも、まずはストレスに関する基礎的な知識を押さえておきましょう。

(1)ストレスの定義

「ストレス(stress)」とは、「外部からの刺激によって身体に生じた反応」のこと。もともとは機械工学的な用語で、物体を圧縮したり引き伸ばしたりした時にその物体に生じる「ひずみ」を意味します(※3)。アメリカの生物学者ウォルター・ブラッドフォード・キャノン(Walter Bradford Cannon)が生理学に応用し、カナダの医学者ハンス・セリエ(Hans Selye)がさらに研究を進めて、1956年の論文で「ストレス学説」を唱えたのが、現在の意味で「ストレス」が使われるようになった始まりと言われています。

(2)ストレッサーとストレス反応

心理学では、ストレスを「ストレッサー」と「ストレス反応」の二つに分けて考えます。

「ストレッサー」とは、ストレスの原因となる外的刺激のこと。具体的には、暑さや寒さ、有害物質などの物理的・化学的なもの、病気や睡眠不足などの生理的なもの、人間関係や家庭の問題、仕事上の問題などを起因とする心理的・社会的なものなどがあります。

続いて「ストレス反応」とは、ストレッサーに対する心と体の反応です。「イライラする」「不安になる」「気分が落ち込む」などの心の反応や、「胃が痛くなる」「息苦しくなる」「動機がする」などの体の反応が該当します。

(3)ストレスの認知的評価

ストレスの認知的評価とは、ストレスの原因となりそうな刺激(=潜在的ストレッサー)に対する個人の主観的な評価のことを指し、評価の段階によって一次的評価と二次的評価に分けられます(※4)(※5)。

一次的評価は、ストレッサーが自分にとって有害か無害かを判断するプロセスです。ある刺激がストレッサーになるかどうかは、主観的な基準によって決まります。

例えば、仕事で新しいプロジェクトのメンバーに選ばれたことが「やりがいがあり、自分が成長できるチャンス」と感じた人にはストレスになりませんが、「忙しいし、重圧がある」と感じた人にはストレスとなります。

一次的評価でストレッサーが「自分とは無関係である」と認知された場合は、ストレスを感じることはありません。一方、ストレッサーが自分にとって「有害である」と判断された場合は二次的評価へと進み、その状況に対処する方法を検討します。

このように、ストレスの認知的評価の一次的評価と二次的評価の間には優劣や時間的な前後関係はなく、相互に影響し合っているのです。

(4)ラザルスのストレス理論

セリエのストレス理論では、主に体に焦点を当てていました。対人関係や仕事上の要請、騒音などの多様なストレッサーにより、イライラしたり、不安になったりといった体の症状が引き起こされた状態がストレス状態である、という考え方です。

そして、セリエのストレス理論を引き継ぎ、研究を深めていったのが、アメリカの心理学者リチャード・S・ラザルス(Richard S. Lazarus)とスーザン・フォルクマン(Susan Folkman)です。ラザルスとフォルクマンは、1984年、ストレッサーが直接ストレス反応やその後の疾病を引き起こすのではなく、認知的評価やコーピングといった心理的な要因によって、心身に生じる変化が異なるという「心理学的ストレスモデル」を提唱しました(※6)。つまり、ストレッサーの受け止め方(=認知的評価)やストレス対処(=コーピング)によって、心理面、身体面、行動面のストレス反応が異なるという理論です。

なるほど。まずは、自分自身のストレスの原因と反応をきちんと認識することが大事なんですね。

原因がわからないと、うまく対処できませんからね。続いて、ストレスへの対処方法を説明します。

ストレスマネジメントのスキル|ストレスコーピングとは?

心理学では、ストレスの原因であるストレッサーにうまく対処しようとすることを「ストレスコーピング(stress coping)」と呼びます。ストレスコーピングは「ストレスマネジメント」の方法の一つで、ストレスの原因を除去したり、ストレスに対する自分の考え方を変えたりと、様々な角度からアプローチしながらストレス対処を行います。

(1)「情動焦点型コーピング」と「問題焦点型コーピング」

ラザルスとフォルクマンは、コーピングには「情動焦点型コーピング」と「問題焦点型コーピング」の2種類があるとしました。

「情動焦点型コーピング」は、ストレッサーそのものに働きかけるのではなく、それに対する考え方や感じ方に焦点を当て、対処することでストレスに対応する方法です。ストレスを感じた時の悲しみ、苦しみ、怒り、不満などのストレス感情にアプローチすることで、つらいと感じる気持ちを変化させて、ストレスをコントロールします。

一方、「問題焦点型コーピング」は、直面している問題・課題(=ストレッサー)そのものに働きかけて、それ自体を変化させて解決を図ろうとする方法です。自分の力で解決するだけでなく、人に相談したり、場合によっては、解決を諦めて逃げたりすることも「問題焦点型コーピング」の一つです。 

具体例として、仕事でミスをして上司に怒られたというストレッサーを想像してみましょう。

情動焦点型ジョーピングでは、例えば「上司は、わざわざ自分のために叱ってくれたんだ、ありがたい。」と考えたり、「ミスは誰にでもある。あまりくよくよしないで、息抜きしよう」と視点を変えることで、辛い気持ちを解消させたり変化させることで、コーピングを図ります。一方、問題焦点型ジョーピングでは、「またミスして怒られることのないように、今回の仕事を見直そう。」と自力の解決を試みたり、あるいは「自分では足りないので他の同僚に相談しよう。」と他の人に頼ったりして、ストレッサー(=上司から怒られる)を根本的に取り除くことを目的とします。

この二つのコーピングをバランスよく取り入れ、状況に応じて適した方法を使用する、失敗したら別の方法に変更してみるという柔軟性が重要です。

(2)ストレスマネジメントのためのコーピングリスト

ストレスに対して、どんな気晴らし方法や対処を行えば効果的か、具体的なコーピングの方法をリストアップしたものが「コーピングリスト」です。これまでの研究では、自分なりのコーピング方法を多く持っていたり、様々なコーピング方法をより柔軟に選べる人ほど、感じるストレスが低減しやすいという結果が出ています(※7)。些細なことでも構わないので、100個を目標に自分なりのコーピングリストを作成してみましょう。例えば、次のようなこともコーピングです。

  • 散歩やストレッチをして気分転換をする
  • 好きなアーティストのお気に入りの曲を聞く
  • 満員電車に乗らなくて済むよう、時差出勤をする

ストレスコーピングは、「モニタリング→ストレス対処方法を考え、実践する→振り返り」という順番で実施します。個々のストレス反応やストレッサーに合わせてコーピングを選んで使ってみて、効果を検証することが重要なのです(※8)。このサイクルを意識的に繰り返し、コーピングスキルを少しずつ向上させることをイメージしながら取り組みましょう。

アプリで取り組むストレスマネジメント

最近では、様々なメンタルヘルスケア関係のアプリもリリースされています。自分に合ったアプリを使って、ストレスコーピングに取り組んでみてはいかがでしょうか。

弊社が運営するアプリAwarefyでは、ストレスコーピングをアプリで行える機能が搭載されています。セルフケアメモを使ったストレスコーピングの具体的方法について説明します(※9)。

(1)「レパートリー」をコーピングリストとして使う

Awarefyには、自分だけのストレス対処方法(コーピング)やセルフケア方法を書き溜めておける「レパートリー」という機能が搭載されています。疲れた時やストレスを感じた時は、書き溜めておいた「レパートリー」を見返して、リフレッシュするために行動してみてはいかがでしょうか。

(2)「セルフケアメモ」を活用する

「セルフケアメモ」は、自分で実施したセルフケア・コーピングの取り組みを記録する機能です。「レパートリー」に書いた行動に実際に取り組んだ時は、その結果、どれくらい気分が改善されたのかを「セルフケアメモ」に記録してみましょう。

このように、一連のコーピングをアプリで記録し、管理することができるので、ぜひ試してみてくださいね。

デジタル認知行動療法アプリ「Awarefy」

日々のメンタルケアを、アプリで取り組みませんか?

「Awarefy」は、日々感じたことを簡単に記録でき、感情や体調の変化を見える化します。マインドフルネス瞑想の実践や、心の働きについて学べる200種類以上の「音声ガイド」も充実。認知行動療法に基づく安心の機能で、あなたのメンタルケアをサポートします。

感情を見える化して、自分をもっと理解する。心のセルフケアアプリ「Awarefy」をぜひお試しください。

デジタル認知行動療法アプリ「Awarefy」

Awarefy の Webサイトはこちら:https://awarefy.app/

ビジネススキルの一つとしてのストレスマネジメント

ストレスマネジメントの重要性は、今後、より一層高まっていくことが予想されます。

ストレスマネジメントのスキルを学習するには、まずはストレス発生の理論やその原因を知ることです。ストレス発生の理論やその原因を知ることは、自分のみならず、部下や周りのメンバーのストレスマネジメントをサポートすることにもつながります。その上で、コーピングリストなどを使ったストレッサーの解消・捉え方の変更、自分に合ったストレス解消法などをビジネススキルの一つとして身に付け、働きやすい職場環境を作っていきましょう。

ストレスと上手に付き合うためにも、ストレスマネジメントを身に付けたいと思いました。

ストレスは人によっても感じ方も異なるので、自分に合ったストレスマネジメントを身に付けたいですね。


監修:藤本 志乃
臨床心理士・公認心理師・マインドフルネス瞑想講師
教育相談、医療機関での活動を経て、2020年にウェルビーイングのためのカウンセリングルームLe:self(リセルフ)オープン。
気軽な心ケアとより良い生き方をコンセプトに、マインドフルネス、ACTのワークショップ・イベントを一般・企業向けに開催している。